農業と福祉の関係を広げる食の交流「きょうとノウフクFES 」レポート
2022年12月9日(金)、京都信用金庫が運営する複合施設「QUESTION」にて「農福ってなに?」という興味から関わりの輪を広げる、体感・交流型の「きょうとノウフクFES」を開催しました。
イベントは二部構成で、第一部はトークイベント、第二部は食の交流会イベントです。
第一部 ノウフクトーク 〜農業と福祉をグラデーションするノウフクの可能性〜
第一部は農業と福祉の可能性を考えるトークイベント。会場には農福に関する活動をされている方から「言葉を聞いたことあるくらい」という方までおよそ20人がお越しくださったのに加えて、オンライン会場でも30人ほどが参加。
「どんな話が聞けるんだろう?」というわくわく感の中、農福の実践者や可能性を広めているフロントランナーの太田みどりさん(日本基金)、新免修さん(さんさん山城)、世古口敦嗣さん(三休)、児島ひかるさん(ヴィレッジれん/京のべじ/京都オーガニックアクション)の4名に話を伺いました。
日本基金の太田さんは、農福連携で生産された食品のその社会的価値を評価する規格「ノウフクJAS」の発起人。形や大きさ等を評価する“規格”の概念を超えることの苦労と、そうしてでも広めるべき農福連携の可能性について語ってくださいました。
新免さんが施設長をつとめる「さんさん山城」は、そんなノウフクJAS認定事業者の第一号。障害者のみなさんが心地よく働ける場を保ちながら、生産にとどまらず商品開発等まで積極的に進められている様子を、韓国メディアに取材を受けた際の映像で紹介くださいました。
また「三休」立上げ初年度は地域との調整に尽力した結果あまり売上が立たなかったところから、一歩いっぽ活動を重ねていくことで経済的にも安定してきて、最近では地域の人から「うちの畑も手伝って」と声をかけられるようになって嬉しいと世古口さん。
「ヴィレッジれん」の児島さんは、もともとご自身が有機農業をしたいと思っていらっしゃったところから、近所の福祉事業者さんとつながり活動が農福に広がった経緯をお教えくださいました。
参加者のみなさんには、ゲストの話をきいて感じたことを「気付きの木」に実らせてもらいました!小さな一歩としてすぐにできそうなチャレンジや、今回を機にさらに農福にご自身が関わるための問いまで、これからの農福がより豊かになっていく可能性でいっぱいの木になりました。
クロージング後も、会場のあちらこちらに話し込むみなさんの姿があり、これからの京都における農福連携がたのしみになる1時間半でした。
第二部 ノウフクコークッキング(食の交流会イベント) 〜ノウフク野菜を美味しく楽しく、味わい学ぶ〜
第二部はQUESTION 8F「DAIDOKORO」に会場を移し、農福の食材を使いゲストと参加者で一緒にコークッキング(共同調理)。
第一部のゲストに加えて、京都で農福連携に取り組んでおられる田中暁さん(いざわファーム株式会社・せいかファーム )、大槻真理子さん(サクラティエ )さんにもご参加頂き、それぞれにお持ちいただいた農福食材を使って全6品をつくりました!
気になるメニューは、下記の通り盛りだくさん!
・えび芋の炊いたん(さんさん山城さんのえび芋)
・ディルのオムレツ・ローズマリーのかおるローストチキン(三休さんのハーブ)
・春菊の春巻き(ヴィレッジれんさんの春菊)
・スイートポテト(せいかファームさんのさつまいも)
・メンマ炊き込みごはん(サクラティエさんのイタリアンメンマ)
ゲストをリーダーにグループに分かれ、それぞれの料理を作ります。「さつまいも、ふかしただけなのにこんな黄金色になるんですか!」「えび芋ってこんなにぬるぬるしているんですね」と、食材を実際にさわったからこそのいろんな声が聞こえてきます。
無事に全部のメニューが揃い、これまた農福連携で生産されている「西陣麦酒」で乾杯!あつあつのできたてを、みんなで頬張ります。
そんな農福料理を食べながら、ゲストのみなさんに普段はどんな様子なのか具体的に教えてもらいました。すると、「『障害』と一言でいっても、一人ひとりまったく違うからそれぞれにあったコミュニケーションや作業が必要」「農福連携によって作られているかよりも、まずちゃんと野菜をつくることが前提」などみなさんが常々気にかけていることの話があり、それを聞いてまた一口食べると味わい深くなったようでした。
農業の課題解決のために福祉と連携するわけではなく、福祉の課題解決のために農業を手掛けるわけでもなく。農業にとっても福祉にとっても明るい未来を目指していまできることを、一人ひとりが一つずつ行っていくことが「農福連携」への道なんだと感じられた時間でした。
きょうとノウフクFES当日の様子はこちらから
https://youtu.be/OPQCsuPypF8