「鳥取で働きたい。」そんなあなたに知ってほしい、鳥取県のユニークな企業3社によるプチ説明会を開催!|鳥取ナイトイベントレポート【11/24】

“若者たちが地元で働くこと、生きることをもっと身近に”

地域で活躍するゲストを他府県から京都にお呼びし、これからの「仕事」や「暮らし」を参加者みんなで考えるローカルナイト。ここ最近、これまで「地方」と言われてきた全国各地に若い世代が移住し、新たな取り組みや仕事づくりを始めることも珍しくはありません。

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現在日本では、5割を超える学生が地元就職を希望しているそう。(※1) その一方で、距離や金銭面で就職活動がしづらいことや、地元企業との出会いや地元とのつながりが少ないこと、地域の最近の動きを知らないことなどが課題となり、なかなか地元就職につながりにくいという現状もあります。

(※1)マイナビが2017年5月に発表した「2018年卒マイナビ大学生Uターン・地元就職に関する調査」によると、地元就職希望率は51.8%。

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ローカルナイトは、そんな学生や若者たちが新たな選択肢へ踏み出せるきっかけを、学生の街・京都でつくっていけないかという取り組み。同郷の人たちが気軽に集える若手県人会のようなコミュニティにもなっています。(※ローカルナイトはMeets localの取り組みのひとつです。)

本日は、11月24日に京都リサーチパーク町家スタジオで開催したローカルナイト「鳥取県」編の様子をお届けしていきたいと思います。(イベントページはコチラ ※Facebookページに移動します。)

今回は、一緒に仕事をしていける仲間と出会いたい! と、鳥取県からまちづくりや食、観光などの分野で新たな仕事づくりに取り組んでいる3社によるプチ説明会が開催されました。最初のスピーカーは「NPO法人 学生人材バンク」の代表理事を務める、中川玄洋(なかがわ げんよう)さん

 

若者のチャレンジが生まれ続けるまちはおもしろい!大学進学とともに訪れた「鳥取県」で、若者と地域や企業をつなぐ「きっかけ」づくりをしています。

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静岡県出身の中川さん。大学進学を機に鳥取を訪れ、地域のおもしろい大人とたくさん出会えたことが 現在の仕事に就く全てのはじまりだったそう。

自分がここで体感した “鳥取の可能性” や “地域のおもしろさ” を後輩達につなげていきたい。そんな思いから在学中に任意団体「学生人材バンク」をスタートさせました。そして、2008年には団体をNPO法人化。現在は7名のスタッフとともに、県内の農山村地域へのボランティア派遣や地元企業への長期インターンシップのコーディネートをしています。

長年、地域と関わり続けてきた中川さんの元には、「うちの空き家、これからどうしよう・・」「今度地域でイベントをしたいけど人手が足りない・・」といった地域住民の悩みや課題が自然に集まってきます。このように人手が足りていないところへ全国から学生や若者を送り込むことはできないだろうか、そんな構想のなかで生まれた「農村体験村咲ク」というプログラム。

智頭町の中島集落で実施したのは、農村に興味がある学生を中島へ送り込み 公民館の有効活用を地域の方々と一緒に考えるというものでした。

「地域の人だけだとできないことも、若者が関わるとおもしろくなる。さらに、遠くからも関わってくれることで、地域はもっとおもしろくなるんです。大事なのはそれぞれの役割分担。」と中川さんはおっしゃいます。

▲卒業生とは現在も交流が続いており、この日も当時学生だった方が中川さんに会いに参加していました。

他にも、学生人材バンクでは、日野町という地域で「日本きのこセンター」(※詳細は記事後半へ)と連携し、原木しいたけを研究したい・育てたい若者と、原木しいたけの栽培を一緒に取り組んでくれる農家をコーディネートしたり、鳥取県で働きたい若者の支援をしたりしています。

▲ハンター民宿「BA-BAR」の女将をしている上田さん。

そんな鳥取県には、各地からおもしろい若者が集まってきます。

ある日、若い女性から「学生人材バンクで働きたいです!」という連絡があったそう。彼女は、学生時から人と動物の関わりについて興味をもち、動物福祉サークルの活動や野生生物について学ぶために国内外を渡り歩いてきた経歴の持ち主。さらには、狩猟免許ももっていました。現在は、NPOやハンターの仕事、そしてハンター民宿「BA-BAR」の運営など複数の仕事を掛け持つスタイルをとっています。(※29年度は育児に専念中。)

人口が少なく課題も多い地域では、ひとつの仕事だけで生計を立てるよりも、彼女のように民宿や飲食、農業、デザインなど収入源を複数もって暮らしている方も少なくはありません。最近では、第3者への事業承継というかたちで、後継ぎがいない農地の活用も進めているそう。

さらに、これまで地縁のなかった学生や若者が、プロジェクトやボランティア活動をきっかけに地域と深く関わることで、鳥取にその後も残っていく流れができており、地域側でも空き家を提供してくれる方が現れるようになりました。なかには「家賃5万円でどうや。もちろん年間でね!」という方もいるのだとか。

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鳥取県は日本で最も人口が少ないのですが、最初にいい人に出会うと次のいい人を連れてきてくれるんです。僕らはその現象を「いい人ほいほい」と呼んでいて。人が少ない分、地域の役や雑務を頼まれることは多いです。自分で断る基準を定めるのは確かに難しいのですが、そんな地域だからこそ、自分がここにいる意味を確かめやすいのではないかと思います。鳥取県にも知らないだけで、いろんな仕事や暮らしの選択肢があることを今日のイベントを通して知っていただけると嬉しいです。(中川さん)

続いてのスピーカーは、建設コンサルティングを行なっている「アイコンヤマト株式会社」の企画課・新啓太朗(あたらし けいたろう)さん

 

業務内容には、GISシステムの開発やドローンの活用なども。建設コンサルの会社で「設計」や「システム開発」にチャレンジしたい人材を募集しています!

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建設コンサルタントは、道路や架線などの「公共インフラ」を整備するために 計画・測量・調査・設計など、工事に到るまでの準備段階を整える仕事です。近年では、新しいインフラを整備するよりも老朽化したインフラの整備や台風の痕跡調査などの仕事が増えているそう。

大手のIT企業だけではなく、地方の建設コンサルタントの仕事においても「IT分野」のスキルが活かせることはみなさんはご存知でしょうか? 本日は、アイコンヤマトが携わっている業務を通して、地方でもITの仕事ができるという側面をご紹介していきたいと思います。(新さん)

ひとつ目に「GIS(※1 地理情報システム)」の開発。こちらはGoogleマップのストリートビューをイメージするとわかりやすいかもしれません。画面をクリックしながら動かすと、画面に映っている風景が同じように動くシステムです。

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社内には「これは画期的な技術で、Googleマップ以前に弊社が開発していたんだ!」とおっしゃる方もいますが、本当かどうかは正直わかりません・・(笑)と笑みを浮かべる新さん。

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▲ドローンの活用(写真提供:アイコンヤマト株式会社)

ふたつ目に「ドローン」の活用。測量の現場で使用する場面が増えてきたことから、アイコンヤマトでは現在、3台のドローンを持っています。ドローンで撮影したものをもとに「点群データ」を作成し、そこから地形図や断面図を作成。そして、インフラ整備に必要なデータを3Dで再現していきます。

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このような点群データ作成の技術を応用して、鳥取城跡を再現したバーチャル動画を制作。エンジニアチームで、お城の軒下の細かいところの再現に注力したそうですが、「つくってはみたもののうまく活用しきれていなくて・・会場の後ろに座っておられる鳥取県さんの観光PRにいいと思うんですけどね。 どうでしょうか(笑)」と新さん。

実際に社内でも今後、ゲームソフトや観光PRに活用していけないかと考えているのだそう。

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▲鳥取城跡を再現した点群データ(写真提供:アイコンヤマト株式会社)

さらには、ディープラーニングを用いた自動図面化システムを開発中とのこと。これらの業務は、自分の力を試してみたいエンジニア志望の方にとって、ワクワクするような内容かもしれません。

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アイコンヤマトでは現在、「設計士」や「システム開発」ができる人材を募集しています。地方や地元で自分の力を活かしてみたい方、地元に戻りたい・鳥取で暮らしてみたいエンジニア志望の方はぜひ一度、お話を聞いてみてはいかがでしょうか。

県内同業者の中でも女性社員の比率が高く、子育てしながらも働きやすい・女性が活躍しやすい職場環境も整っているアイコンヤマト株式会社。また、「目指すべき道しるべが大事!」という社長の方針で理念を大切にしながらも、アットホームな会社なのだそうですよ。

(※1)GIS・・位置に関する様々な情報を持ったデータを電子的な地図上で扱う情報システム技術の総称。(国土交通省HP 参照)

本日最後のスピーカーは、原木しいたけを研究・販売している国内トップメーカー、「一般財団法人日本きのこセンターグループ 菌興(きんこう)椎茸協同組合代表理事組合長の下田 秀一(しもだ ひでかず)さん

 

「ブランド」の定義が変わってきている現代。産地力を高めた「きのこ」を通して、次世代の若者が魅力を感じてくれる「鳥取県」へ。

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鳥取市にある「菌興椎茸協同組合」は、日本産原木しいたけの最先端の研究や栽培指導、商品開発などを行う組合。下田さんは主にマネジメントやマーケティングを担当しています。

まずはじめに、百貨店と共同開発した「そのままたべるきのこ」を一例として挙げながら、食のブランディングについてのお話がスタート。こちらの商品は、農産物ブランディングの成功事例として多数のメディアにも取り上げられました。

これまでの一般的な「ブランド化」とは、ブランド名を売ってブランド力を高めるという方法で確立されてきました。しかし、現在は、産地力を強くする・維持するためにモノの付加価値を高めていくことがブランディングの大きな目的となっています。クオリティが高いものをつくることは大前提の上で、「ブランド」という言葉のもつ意味が時代の流れとともに変化しています。(下田さん)

さらに、ブランド力や価格によって購入する層が異なるので、新たな市場を開拓する時は どこに向けてどのように売るのかを明確に考えることが肝になるんです、とお話は続きます。

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▲写真手前が「そのままたべるきのこ」。スナック感覚で食べられます。

その次に生産者がクリアしなければならないのは、求められる「生産量」をどうやって確保していくか。

現在、日本全国の農地は今後も存続できるかどうかという課題に直面しています。生産者自身も対策をとっていかないと、場合によっては10年後に「消滅産品」になり得る可能性もあるのだとか。

実際に下田さんたちが高齢の生産者にアンケートをとったところ、ほとんど後継者がいないことが判明。さらには、「息子は継がないけれど、相続の関係で農地の譲渡はできない。」という声も。

しかし、幸いなことに「やりたい人がいるなら無償で場所は貸すよ!」「若者がやるなら師匠をしてもいいよ!」という農家の方もおられ、現在、鳥取県や中川さんと連携しながら「鳥取プログラム」として、原木しいたけの生産力を高めていこうと若い生産者を募集しています。

また、鳥取県では現在、百貨店で1本あたり1296円の原木しいたけ「鳥取茸王」を育てる地域おこし協力隊も募集中だそうですよ。(※締切は2018年1月31日)

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正直、私たちの仕事は働く上で自分に「執念」がないとできないと思います。しかし、これまで全国の農山村を巡りながら若くして頑張っている方々にたくさん出会ってきましたし、雇用条件が整わないなかでも「鳥取できのこの仕事がしたい!」と連絡をくれた若者もいました。彼らは「生活=理念」があるんですよね。そういう若者たちに「地域を担え」とか「後は任した」とは言いたくないんです。「きのこ」を通して、彼ら・彼女らがこれからも居続けたくなるような、次世代に継ぎたくなるような、そんな魅力ある鳥取県にしていきたいです。(下田さん)

会場が下田さんの熱量に包まれたところで、本日のゲストトークは終了。鳥取県の産品を片手に交流会がはじまりました。

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中川さんとの久しぶりの再開で思い出話に花を咲かせる参加者や、鳥取県に学生を送り込む方法を考える大学職員の方々。「鳥取に来てみたい学生や地域に興味がある学生がいたら、こちらで対応しますのでぜひ送り込んでください!」と中川さん。

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最後に、参加者からひと言ずつ感想を共有して本日の「鳥取ナイト」は終了。

「農村体験村咲ク」の卒業生で中川さんに会いにきていた男性も、「僕は地元である京都に拠点を構えてしまったので鳥取に移住することはできないけれど、今後もつながりを考えたいですし、おもしろい学生がいたら玄洋さんのところに送り込みます!」とおっしゃっていました。

 

「鳥取県で働きたい!」そんなみなさんへ。

鳥取県では、鳥取県内で働きたい若者を応援するために、

・鳥取県内企業の採用面接を受ける際の交通費の助成

・鳥取県内に就職する35歳未満の学生や既卒者の奨学金返済の助成

などの支援があります。

また、大阪・梅田第3ビルには鳥取県関西本部もあるので、鳥取県への移住が気になる方、鳥取県で働いてみたい方はぜひ気軽に訪れてみて下さいね。

 

「いつか地元で」と思っている学生がいる一方で、「大学を卒業してすぐに地元で働くイメージをもてない」という声を耳にすることもしばしば。まずは、中川さんたちのような大人が地域にいることを知り、出会い、実際に現場を訪れてみることで若者のキャリアの選択肢は広がるのかもしれません。

 

--「学生のまち、京都」だからこそ。

学生や若者が、ゲストのみなさんのような「人」や、新たな角度から見た「地域」と出会えるきっかけを、私達は「Meets Local(ミツカル)」を通してつくっていきたいと思っています。

京都で地方をもりあげていきたい学生の方・若者のコミュニティづくりや京都での企画に興味のある自治体の方など、ミツカルについて興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

担当:株式会社ツナグム ミツカル担当 藤本 MAIL:info@tunagum.com