「石川に関わることから始めよう。|Meets石川ナイト@京都イベントレポート【 12/7】」

地域で活躍するゲストをお呼びし、これからの仕事や暮らしを考えるローカルナイト。

 

12月7日京都開催 meets石川ナイト!

京都四条烏丸にある「oinai karasuma」にて、meets石川ナイトを開催しました。

 

▲普段は、コワーキングスペースとして活用されている「oinai karasuma」

 

まずは、石川県 企画振興部 地域振興課 移住推進グループの坂田健(さかたたけし)さんから石川県の紹介。

 

「南北に200キロ、東西に100キロと南北に長い県です。また、北に位置する自然豊かな能登(のと)地域、中心部で都会の雰囲気が漂う金沢市近郊、温泉がたくさんある南側の加賀地域、と大きく3つの地域に分けることができます」

 

▲車で走れる砂浜「千里浜なぎさドライブウェイ」がある、石川県羽咋市出身の坂田さん。

 

参加者の中に石川県出身の方がいるか聞いてみたところ、5人ほどは石川県出身とのこと。また、「金沢に行ったことがある方は?」という問いかけには、ほぼ全員の手があがりました。

 

そんな石川県から今回お呼びした方は、「ノトノオト」の小山基(こやまはじめ)さんと「金沢R不動産」の笠原美緑(かさはらみのり)さんです。

 

▲左手前の男性が小山さん、右手前の女性が笠原さん。

 

地域で暮らす、ということ

まずは、大阪府出身の小山さんのお話から始まります。

 

地域おこし協力隊として能登島に移住され、その後「ノトノオト」を起業。現在は、酒米から酒を作る商品開発、暮らしをめぐるサイクリングツアー、大人も子どもも一緒に能登の自然を探検する「のと島ちびっこ探検隊」などを運営されています。

 

▲商品開発でつくられた「能登島」

 

そんな小山さんは、大学院で生態学を学び、卒業後は東京の環境コンサルタント会社に就職。国立公園の保護などをされていました。

 

2年目には、小笠原諸島に赴任。そこでの暮らしが大きなターニングポイントになったそうです。

 

「1つの会社で長く働くのが当たり前だと思っていました。でも、小笠原の人たちは仕事を作り出し、次々変えていくんです。その姿を見て仕事って変えられるんだ、と気づきました」

 

▲家もつくりだす小笠原の人たちに、衝撃を受けたのだそうです。

 

赴任中に結婚をされお子さんもできた小山さん。赴任終了と同時に移住先を探し始め、能登島に移住することを決意されます。

 

能登島は、人口約2,800人でその中に20の集落があります。また、古くから農業と漁業で生計を立てていた地域です。

 

小山さんが移住を決めるきっかけとなったのが「うれし!たのし!島流し!」という、田舎暮らしを体験するツアー。

 

まず空港で囚人服を着せられ、護送車で島に護送。能登島大橋を渡る際、お奉行様から「仕事のしすぎのため、能登島への島流しの刑に処す」という罪状を読み上げられます。

 

▲流刑の地となっていた能登島。そのことをもとに、考案されたツアーです。

 

夏編だと地元の祭りに参加してもらい、冬編だと島の豊かな食をたらふく食べてもらう、という内容になっています。

 

▲美味しい海の幸がそろう、能登島。

 

「このツアーに参加して、子ども同士の関係性に魅力を感じたんです。上の子が下の子の面倒をみる関係性ができていたんです。また、大人はよその家の子も叱ります。そんな風に子どもを地域で育てる意識がある、ということが移住の決め手になりました」

 

▲前かがみになる、細かくメモを取る、熱心に聞き入る参加者の方々。

 

そう語る小山さん。実際に移住をされ4年が経つ現在は、能登島の良さや悪さをどう思っておられるのでしょうか。

 

「能登島の良いところは、移住者家族が多いことですね。忙しい時に子どもを預けあえるので助かっています。あとは、集落対抗のスポーツ大会が2ヶ月に1回あります。若い世代が顔見知りになれるのは良いのですが、気合が入っている集落だと夜に練習があるので、人によっては大変かもしれません」

 

▲子連れの方もいらっしゃり、小山さんの話に聞き入っている様子でした。

 

そして、小山さんの今後についても話していただきました。

 

「感動体験をしてもらうことでファンをつくり、そこからコアなファンとして地域に関わってくださる方を増やしていきたいです。また、ファンの方には地域と繋がる関係性をつくってもらえるようにサポートしていきたいです」

 

ちょうどいい街、金沢

続いては、富山市出身の笠原さん。現在は、社会人2年目としてソーシャルデザインカンパニー「E.N.N.」の不動産事業「金沢R不動産」で仕事をされています。

 

E.N.N.はほかにも、建築設計「studioKOZ.」、飲食店「a.k.a.」、ショップ「八百萬(やおよろず)本舗」、WEBメディア「reallocal金沢」を運営されている会社です。

 

▲場とまち・都市をつくる、有限会社

 

大学進学を機に、超近距離移住をされた笠原さん。金沢の大学でまちづくりを学んでいました。

 

そして、あるコミュニティデザイナーさんにあこがれ、繋がりやコミュニティという観点から、まちを良くする立場の人になりたいと思い描くように。

 

ですが、様々なワークショップを開催するうちに限界を感じるようになったといいます。

 

「本当に人が繋がっているのか、と疑問に思うようになっちゃって。私はこっちじゃないのかも、と思ったんです」

 

▲これまでの歩みを確認するように話されていました。

 

そんな時期に出会ったのが「リノベーション」という考え方。きっかけは、元仏壇センターをホテルにリノベーションした「HATCHi金沢」ができたこと。

 

「まちづくりには、人が繋がるなどのソフト面と建物などのハード面があることを大学で学んで。全く別物だと思っていたんですけど、HATCHi金沢を見て、一緒にやった方がよっぽどいいな、と思ったんです」

 

▲HATCHi金沢には、国内外問わず様々な人が訪れ、交流が行われています。

 

そして、両方のことができる会社がないか調べているうちに、「E.N.N.」に出会い就職。

 

「多方面からまちづくりに対してアプローチをし、物事をつくる会社です。金沢R不動産はHPだけで集客をしていて、文章や写真、アイコンで物件の紹介をしています。建物のエピソードやその土地の歴史、数字に表れてこない物件の魅力を伝えていることが特徴です」

 

▲金沢R不動産のHP

 

そんな笠原さんですが、不動産の仕事に就いて良かったと感じた出来事があったそう。

 

「金沢市内に新しくできた、カフェの仲介をさせてもらいました。東京から移住して金沢でカフェが開業できる場所を探していた同年代の彼に、物件を紹介したら決めてくれて。街が変わっていく様子を見せてもらっている感覚で、お手伝いできたことが嬉しかったです」

 

▲金沢に行きたい、そんな声が聞こえてきそうな表情

 

カフェの方のように、他府県から移住をされる方が多い金沢。

 

他の移住者の方と話していると、食べ物がおいしいこと、犀川(さいがわ)によく通うこと、最先端の人たちが集まるイベントが多いこと、など金沢の魅力がたくさん出てくるのだそうです。

 

▲金沢にも美味しいものがたくさん

 

笠原さんも金沢に住み始めて6年。現在感じていることを話していただきました。

 

「金沢は、バランスが良い街だと思います。陶芸などの作家さんも多いので刺激になりますし、時間がゆったり流れるところがちょうどいいなと思います」

 

金沢の魅力について、こうも続けます。

 

「飽きないです。6年間住んでいると、好きなものや興味も変わります。でも、そのどれに対しても、街が打ち返してくれる感じなんです」

 

▲金沢市内を流れる犀川。どことなく、京都の鴨川に似ています。

 

移住するその前に

ゲスト2人の話が終わると、交流タイム。

 

石川県から持ってきていただいた、能登の味噌が練り込まれた「味噌饅頭」や金沢周辺で作られた金時芋のお菓子「金沢雅」、奥能登産の「しおサイダー」などを囲み、それぞれ交流を楽しみました。

 

▲噛むとパリパリと音をたてて溶けていくのは、お皿の上にある丸いお菓子「紙風船」

 

そして最後は、感想の共有です。

 

「石川に行ってみようと思います」

 

「京都にいるなら冬の寒さは大丈夫、とアドバイスをいただいたので、金沢に移住するかもしれません」

 

「高校生の時、初めて金沢に行きました。その時に、私は金沢に生まれてくるべきだった、と感じ、やっと来年から金沢に住むことになりました」

 

という声が聞けました。

▲お菓子を片手に、会話も弾みます。

 

移住、それは人生を変えてしまう大きな出来事。だからこそ、なかなか一歩を踏み出せないことも多い。でもまずは、その地域と「関わる」ということをしてみてください。

 

小山さんは「うれし!たのし!島流し!」というツアー、笠原さんは「大学進学」。

 

それぞれ一度、石川という場所に関わりを持ち、その後移住をされています。

 

移住する、そう意気込むよりも、まずは石川県に関わってみることから始めませんか。

 

▲最後は、皆さんで石川ポーズ!