【9/13(水)】島根ナイト@京都開催しました!

“若者たちが地元で働くこと、生きることを、もっと身近に。”

地域で活躍するゲストを他府県から京都にお呼びし、これからの「仕事」や「暮らし」を参加者みんなで考えるローカルナイト。

みなさんは今、自分の地元のことをどのくらい知っていますか? 観光で訪れるならどこがオススメで、就職先にはどんな企業があって、その地域にはどんな人たちが暮らしていて・・

170913 shimane night

ここ最近、これまで「地方」と言われてきた全国各地に若い世代が移住し、新たな取り組みや仕事づくりを始めることも珍しくはありません。そんな人たちが自分の地元にいることを、就職や進学で転居した若者たちはどのくらい知っているのでしょうか。

現在日本では、5割を超える学生が地元就職を希望しているそう。(※1) その一方で、距離や金銭面で就職活動がしづらいことや、地元企業との出会いや地元とのつながりが少ないこと、地域の最近の動きを知らないことなどが課題となり、なかなか地元就職につながりにくいという現状もあります。

(※1)マイナビが2017年5月に発表した「2018年卒マイナビ大学生Uターン・地元就職に関する調査」によると、地元就職希望率は51.8%。

190913 shimanenight

ローカルナイトは、そんな学生や若者たちが新たな選択肢へ踏み出せるきっかけを、学生の街・京都でつくっていけないかという取り組み。同郷の人たちが気軽に集える若手県人会のようなコミュニティにもなっています。(※ローカルナイトはMeets local(ミツカル)の取り組みのひとつです。)

参加者には、「自分ごと」としてこの場に参加してみる、楽しんでみる、何か持ち帰ってみるというスタンスを大切にしてほしいと思っています。

170913 shimanenight

本日は、9月13日に京都リサーチパーク町家スタジオで開催したローカルナイト「島根県」編の様子をお届けしていきたいと思います。(イベントページはコチラ ※Facebookページに移動します。)

170913 shimanenight
▲渡邉さんのプレゼン資料より

現在、島根県の人口は約685,000人。東西に約230km 離れている県内は、おおきく出雲地方(東部)・石見地方(西部)・隠岐地方の3つのパートに分かれており、19の市町村があります。

出雲地方では縁結びのご利益でも有名な「出雲大社」、石見地方には戦国時代から江戸時代にかけて栄えた国内最大の銀山である「石見銀山」、隠岐地方には大小あわせて180あまりの自然豊かな島々があります。

歴史的な建物や神社仏閣、豊かな食文化があふれている島根県について、まずは島根県庁渡邉三冬(わたなべ みふゆ)さんからお話をいただきました。

170913 shimanenight

出雲市出身の渡邉さん。18歳までを地元で過ごし東京の大学へ進学。一般企業で働いたのち、“家族の近くでゆったりした暮らしがしたい” という思いからUターンを決心。現在は、島根県庁地域振興部 しまね暮らし推進課で島根県の魅力を県内外に発信するお仕事をされています。

170913 shimanenight
▲クイズ形式で京都と比較しながら島根を紹介。お茶文化が栄えていたため和菓子店が多いそう。

人口は日本で2番目に少なく、高齢化率は31.8%と3番目に高い島根県。県の8割以上が中山間地域のため “何もない” イメージが先行しやすい一方で、課題が多いということは取り組み次第で “先進県になれる可能性がある” と渡邉さん。

また、地域のつながりや人のつながりが強い場所であり、これまで “何もない” と言われてきた地域だからこそ、新たなビジネスチャンスもあるとお話は続きます。

そんな島根県に関われるプログラムとして、2012年に開講した「しまコトアカデミー」。

“地域や島根に貢献したいけれどすぐに移住はできないし、どう関わればいいのかわからない” という方にぴったりプログラムです。

shimakoto academy

 

▼しまコトアカデミーとは?

先進的な地域づくりで知られる島根をフィールドに、地域を学び、実際に出掛けて、自分のかかわり方=コトの起こし方を見つける連続講座。
島根県が人気雑誌「ソトコト」とコラボレーションして2012年に東京、15年には大阪でも開講し、注目されています。
毎年15人程度の少数制。これまでの卒業生たちが次々と各地でコトを起こし始めています。

(しまコトアカデミー WEBページより引用)

 

しまコトアカデミーには、①座学 ②インターンシップ ③プランの発表という3つのプロセスがあり、住んでいる場所は離れていても地域と関わり、応援し、盛り上げてくれる人 =「関係人口」を増やしていくことを目的としています。現在、2017年のプログラムが進行中。どんな「しまコトプラン」が誕生するのかとても楽しみですね。

※10月24日に「しまことアカデミー」についての本が出版されました! ご興味のある方はぜひ一度、読んでみてくださいね。関係人口をつくるー定住でも交流でもないローカルイノベーション」(田中輝美・シーズ総合政策研究所著、木楽舎)

 

続いてのスピーカーは、東京から島根にIターンした戸田耕一郎(とだ こういちろう)さん。現在は、江津(ごうつ)市で暮らしながら、「Vege&Fork Market」の開催や映像制作、写真撮影、WEBサイト制作、カフェの運営などをされています。(お仕事内容について詳しく知りたい方はこちらのHPへ。)

“将来、自分の子どもに胸を張れる自分でありたい” と転職・移住を決心。4年経った今も新鮮な気持ちで暮らしています。

170913 shimanenight

東京都八王子市出身の戸田さんは現在42歳。移住を考えはじめたのは30代前半の頃でした。

自分や家族の将来を考えていくうちに “このままでいいのか” と思うようになったことがきっかけだったそう。「東京であのまま暮らしていたら、将来生まれてくる自分の子どもに『お父さんは何をやってるの?』と聞かれても胸を張って答えられる自信がなかった。」と当時を振り返られます。

170913 shimanenight toda
▲戸田さん仕事のひとつである、WEBサイト制作。

まずは自分達でやってみようと、2010年の秋、戸田さんご夫妻は神奈川県でオーガニックフードフェス「Vege&Fork Market」をスタート。毎年春と秋に開催しており、120店舗以上が軒を並べるイベントとあって、この日はご覧の通りたくさんの人が集まります。

vege&fork market

“今日はいつもと少しだけ、ちがうものを。” というコンセプトのもと、自分の健康について考えるきっかけになればと、ベジタブル、マクロビオティック、オーガニックを大事にした食生活を、イベントを通してささやかに伝えられています。

※15回目となる次回は11月4,5日に開催されるので、関東方面へいかれる際はぜひ足を運んでみてくださいね。

人通りが決して多くはなく、最寄り駅からも少し距離がある。そういった場所で取り組んでいるこちらのフェスを通して、自分達の暮らしの真ん中で大切にしたい根っこの部分が膨らんでいきます。

島根には東京のように働く場所がたくさんあるわけではないと考え、これからは “自分で仕事をしていこう” と決心。そして、2014年の夏に家族で江津市に移住されました。

kuraniwa

翌年7月にカフェ&ベーカリー「蔵庭」を夫婦でオープン。「食・地域・心身」をコンセプトにした野菜中心のメニューが並びます。(ソトコト2017年1月号の表紙・紙面にも掲載されていますので、気になる方はぜひ、バックナンバーをご覧ください。)

また、蔵庭の隣にある蔵をオフィスにしたい! と改修をし、この島根ナイトの前日に完成。蔵にあった200年くらい前の梁でDJテーブルまでつくってしまったのだとか。「東京にいた頃の暮らしを考えると180度違っていて、島根に移住してから4年経った今でも毎日フレッシュな気持ちなんです。」と言いきれる江津市での暮らし。

最後に「30代でたくさん悩んできたからこそ、今は振り子のような反動でぐんぐん進んでいけるんです」と締めくくられました。

 

続いてのスピーカーは、「NPO法人カタリバ」で働く森山裕介(もりやま ゆうすけ)さん。出雲市出身の27歳。東京の大学に進学し、卒業後は東京の人事コンサルティング会社に就職。2016年にUターンし、教育分野のコミュニティづくりに取り組んでいます。

僕が島根で過ごした18年間では出会えなかったおもしろい大人達に、中高生のうちから出会える仕組みをつくりたい。

170913 shimanenight moriyama

森山さんが「いつか島根で生きていきたい!」と地元に目を向けたのは成人式。かつて東京に憧れ、早く地元を出たいと思っていた自分はいつのまにかいなくなり、東京にいながら島根のためにできることはないかと考えはじめます。

「島根を盛り上げたいんです!」と人に会うたびに伝えていくと、東京で島根産の野菜を売ってみないか? とオファーがあったそう。

「売ります!」と即答し、さっそく島根県東京事務所に「野菜を売りたいんですけど・・」と相談へ。mixiを利用して仲間を募集し販売していると、東京で暮らす島根出身者がたくさん買いにきてくれたのだとか。

170913 shimanenight moriyama

はじめて自分から「島根」に関わったことで、もっと島根に所縁のある人の思いをすくい上げることはできないかと考えるように。また、この取り組みを通して、18年間の島根生活では出会えなかったおもしろい大人達や多様な仕事に出会うことができました。

170913 shimanenight moriyama

森山さんはその後、雲南市で中高生のキャリア形成に関する企画をしたり、東京の友人達を連れて島根ツアーを開催したりと島根県民が地元に対して何かを考える・取り組む「きっかけ」をつくるためのヒントを集めていきます。

170913 shimanenight moriyama

「ここにある地域の魅力を知らずに生きていくのはもったいない。どうすれば中高生にも実感してもらえるのだろうか。その後どんな進路を生きていくのかは自由だけれど、実感してからまちを出るかどうかで『地元』の捉え方が変わってくると思うんです。」と森山さん。

現在はカタリバを通して、自分のテーマをもって高校を卒業するためのプログラムづくりをしています。

roots shimane

そのほかにも、“県外に住んでいるので、島根とどう関わっていいのかわからない” と思っている学生や若者が集まれる「ルーツしまね」というコミュニティづくりにも取り組んでいます。いろんな立場から「島根」と関われる人が増えるといいなと考えておられるそう。

「島根に戻って1年と2ヶ月。地域のプレイヤーが少ない分、時には自分の力量以上のことが求められることもあります。そんな環境だからこそ自分の幅を広げられるし、存在意義を感じながら日々暮らしています。」と締めくくられました。

県外で暮らしながら「島根」に対して何かやってみたい! という方がおられましたら、ぜひ森山さんにご相談してみてはいかがでしょうか。

 

最後のスピーカーは、2011年にUターンした(株)シマネプロモーション 代表取締役の三浦大紀(みうら ひろき)さん。浜田市生まれの37歳。江津市主催のビジネスプランコンテストで「島根に広告代理店をつくる!」と提案し、賞を獲ったことがきっかけで島根へ戻ることに。(お仕事内容について詳しく知りたい方はこちらのHPへ。)

“こんな島根になったらいいな” という視点から、これまでの島根にはなかった仕事をつくっています。

170913 shimanenight miura

東京の大学で国際関係学を学んでいた三浦さん。当時は、外交官や国連の職員になると思っていたそう。ある時、政治家でも国際協力はできることに気づき、大学卒業後は国会議員の秘書や国際NGO職員として働かれます。

32歳の頃に「自分はどんな人間なのか」と、ひとつずつ好きなことを紐解いてみると、だんだん地元・島根に関心をもつように。

170913 shimanenight miura
▲さば寿司、雪山、ビーチ、組子の職人、縫製工場・・島根暮らしの豊かさが垣間見えます。

島根県でも自分がやれることはたくさんあるはずで、やり方もきっとたくさんある。

当時の島根県には「アイデア」が必要で、それを実現させるためのプロデューサーがいないことに気づいた三浦さん。江津市主催のビジネスプランコンテストでその思いを伝え、見事大賞を獲得。これを機にUターンを決心します。

移住後は「NPO法人てごねっと石見」で働いたのち、起業。

今でも「三浦君は何をやっているの?」と聞かれることはあるそうですが、“こんな島根になったらいいな” と思いながらコワーキングスペースやシェアハウスの運営、プロモーション企画、まちづくりコンサルティングなどを展開しておられます。

YUTTE

例えば、こちらの「YUTTE」というセミオーダー式のギフトセットの販売。メイドイン島根でセレクトされた商品を取り扱っており、松江市には実際に商品を手に取れるショールームもあります。

冒頭の渡邉さんのお話にもあったように、お茶文化が盛んで和菓子店が多い島根県。茶菓子の箱を作る「貼り箱」の作り手も多いそうで、ギフトセットの箱にはこうした地域の技術が活かされています。

HARIYAMA productions

他にも、三浦さんの弟さんが立ち上げたアウトドアブランド「ハリヤマプロダクションズ」では、スタイリッシュな商品を展開しつつも、地域のお母さん達が家庭用ミシンを使ってお小遣い稼ぎができる仕組みをつくられています。そういったサービスや仕組みをつくっていくのも三浦さんのお仕事。

「このように、 “こんな島根になったらいいな” と思うことを県や県内の企業に提案しながら、一緒にできることを探しています。そんな風にして、島根県との関わりしろを見つけながら暮らしています。それから・・もう『島根県には仕事がない』なんて言わせないよ!」とはにかむ三浦さん。

kurashianetto

こちらの「くらしまねっと」にはなんと、5500件あまりの求人が掲載されています。地元に帰りたい、島根に移住してみたい、そんなみなさんはぜひ一度目を通してみてください。

170913 shimanenight

お話のあとはゲストを交えての交流会! 島根県のおいしい食べ物やお酒が並びます。実は、左から2番目の「赤てん」は島根県民の大好物。「赤てんだ〜!」という声があちらこちらから聞こえてきました。唐辛子のピリっとした辛さがアクセントのすり身は日本酒とよく合うんです。

170913 shimanenight

最後に円になって、参加者のみなさんからひと言ずつ感想をいただきました。

 

・京都で島根のことを思ってくれる人がこんなにいるとは思っていなかった。

・進学と同時に島根から出て4ヶ月。こんな人たちがいて、こんな取り組みがあるのは知らなかったし、嬉しくなりました。

・松江市出身で先月も帰っていました。近い将来に地元へ戻りたいと考えています。

・しまコトアカデミーの1期生です。また島根に行きたくなりました。

・来年の春から就職で島根に戻るので、みなさんよろしくお願いします!

 

など、それぞれにとって密度の濃い時間になったようです。なかには、「今日できたコミュニティが続いていくようにツアーをしたいですね!」という声もあり、そういった企画が今後生まれていくかもしれません。

170913 shimanenight
▲最後に「島根ポーズ」で記念撮影をして、本日の島根ナイトは終了しました。

 

「島根移住に興味がある!」みなさんへ。

先日、島根県が開催した移住フェアには480名ほどが来場されたのだそう。なかでも、ベビーカーを押しながら訪れる 比較的若いIターン希望のご家族が多かったのだとか。移住フェアには地元企業にも出向いてもらうことで、「仕事」ありきで島根県を発信しておられます。

「まずは一度現地へ行ってみて、地域の良さやアクセスの不便さなど、現実を知った上で移住を判断してほしい。」と語る、担当の石黒さん。

関西でも島根県のコミュニティを広げていきたいそうなので、島根県の出身者や島根暮らしに興味があるみなさんはぜひ、気軽に大阪事務所を訪れてみてはいかがでしょうか。

 

これまでとは異なった視点から地域を捉え、動き、新たな仕組みをつくっていく本日のゲストのような方々。まずは、こういった “おもしろい大人達が地域にいる” ということを知るだけで、若者が思い描く将来の選択肢はグッと広がるのかもしれません。

Photo by もろこし

 

--「学生のまち、京都」だからこそ。

学生や若者が、ゲストのみなさんのような「人」や、新たな角度から見た「地域」と出会えるきっかけを、私達は「Meets Local(ミツカル)」を通してつくっていきたいと思っています。

京都で地方をもりあげていきたい学生の方・若者のコミュニティづくりや京都での企画に興味のある自治体の方など、ミツカルについて興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

担当:株式会社ツナグム ミツカル担当 藤本 MAIL:info@tunagum.com