【5/26(金)】大分ナイト@京都開催しました!


“若者たちが地元で働くこと、生きることを、もっと身近に。

地域で活躍するゲストを他府県から京都にお呼びし、これからの「仕事」や「暮らし」を参加者みんなで考えるローカルナイト。

みなさんは今、自分の地元のことをどのくらい知っていますか? 観光で訪れるならどこがオススメで、就職先にはどんな企業があって、その地域にはどんな人たちが暮らしていて・・

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ここ最近、これまで「地方」と言われてきた全国各地に若い世代が移住し、新たな取り組みや仕事づくりを始めることも珍しくはありません。そんな人達が自分の地元にいることを、就職や進学で転居した若者達はどのくらい知っているのでしょうか。

また、現在日本では5割を超える学生が地元就職を希望しているそう。(※1) その一方で、距離や金銭面で就職活動がしづらいことや、地元企業との出会いや地元とのつながりが少ないこと、地域の最近の動きを知らないことなどが課題となり、なかなか地元就職につながりにくいという現状もあります。

(※1)マイナビが2017年5月に発表した「2018年卒マイナビ大学生Uターン・地元就職に関する調査」によると、地元就職希望率は51.8%。

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ローカルナイトは、そんな学生や若者が新たな選択肢へ踏み出せるきっかけを、学生の街・京都でつくっていけないかという取り組み。同郷の人達が気軽に集える若手県人会のようなコミュニティにもなっています。参加するにあたってまずは、「自分ごと」としてこの場に参加してみる、楽しんでみる、何か持ち帰ってみるということを心がけてみてください。

本日は、5月26日に京都リサーチパーク町家スタジオで開催したローカルナイト「大分県編」の様子をお届けしていきたいと思います。(イベントページはコチラ ※Facebookページに移動します)

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本日のゲストと主催の大分県庁職員の皆さま。

当日の会場には、大分出身の若者や「大分に行ってみたい・もっと知りたい!」という若者、「大分にゆかりがある人達と語りたい!」 という大学生、「七島藺(しちとうい※2)を使ってものづくりがしたい!」という方など、20~40代の方々が男女合わせて30人近く集まりました。

※2・・七島藺(しちとうい)とは、大分県の国東(くにさき)地方だけで生産されているカヤツリグサ科という植物で、畳の材料のこと。(参照HP;http://shitto.org/)

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現在、大分県の総人口は約115万人ほど。県の北東側は別府湾と瀬戸内海に面しており、南西側には雄大な山里の景色が広がっています。また、大分県の全18市町村のうち16市町村で温泉が湧いており、源泉数・湧出量ともに日本一の「おんせん県」としてその名を轟かせています。

そんな大分県の魅力についてまずは、大分県大阪事務所で移住サポーターをされている酒本千春(さかもと ちはる)さんからお話していただきました。

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酒本さんは広島県出身。立命館アジア太平洋大学(通称:APU)を卒業し、現在は大分県の大阪事務所に勤められています。

大分の魅力は何と言っても「温泉」。場所ごとに泉質が異なり、それぞれを訪れる楽しさがあるのだそう。他にも、東椎屋(ひがししいや)の滝や湿原、高原などの大自然、関さばやとりの唐揚げ・とり天、まぐろステーキなどの豊かな食文化、そして移住者が新たに始めたお店などを紹介してくださりました。

APU時代初めて大分の暮らしに触れた酒本さんにとって、「あんた元気?」「久しぶりに会ったね」という会話が温泉内で生まれるという大分の日常に新鮮さを感じたこともあったそう。

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また、都市部から移住するにあたり、“初めは地元も含め、地方で働く姿が想像できなかった” という本音や、 “大分出身者以外が大分で働くケースはまだまだ少ない” という現状も伝えてくださいました。そんな自身の経験を活かして今は「おおいた暮らし」というポータルサイトや窓口を通して移住のサポートをされています。

取り組みの成果もあってか、最近はUIターンで移住してくる方が少しずつ増え、新規就農したり、飲食店を開いたり、ゲストハウスを始める方もいるのだそう。その他にも、大阪から移住した方が狩猟の総合プロデュースをされているのだとか。

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「住んでいる人にとっては当たり前の風景が私にとってはとてもいい景色」と最後に見せてくださったこちらのお写真がとても印象的でした。

学生の新たな仕事づくりを応援したい。

次に、11年前に福岡から大分県別府市に移住し、3年前にシェアオフィス「alliance social share office beppu」を開業した宮井智史(みやい さとし)さんのお話がスタート。

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宮井さんは現在、別府市でシェアオフィスを運営しながら、大分県内の起業者発掘事業や、就業支援を行う「大分みんなのキャリア支援センター」で学生を中心に就業教育などをされています。

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大分の特徴として、別府市にキャンパスを構えるAPUが挙げられます。学生の半数が外国人留学生であり、様々なバックグラウンドをもつ人がここに集まっています。

そのような背景から、宮井さんは留学生のスタートアップ支援もされており、実際にバングラデシュ出身の留学生が “留学を決める際に情報がなかった” という実体験から、留学希望者と大学のマッチングサービスを生み出そうと取り組んでいます。

その他にも宮井さんは、大分移住希望者への情報提供コミュニティ「おおいた移住計画」の別府支部として参画しておられたり、地域産品を中心とした「田の湯マーケットという朝市を毎月企画・開催されたりしています。

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宮井さんがサポートされている取り組みのひとつ「レキシnight」

大分県は今、温泉を中心に観光業がさらなる盛り上がりを見せており、県外企業の進出も増えているのだとか。観光業が主な産業のベースになっている一方で、地域マネジメントに課題があり、地元の飲食店が経営難になるケースもあります。このままでは、これまで大分で大事にされてきた文化がなくなっていくのではないかという懸念もあるそう。

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宮井さんは、せっかく縁があって大分にやってきた学生や移住者が地域で新たな仕事をつくっていけるようにサポートしながら、「失業率をゼロにする」ことや、大分県内に循環する「お金の流れをつくる」ことを目指しておられます。

大分県への移住を検討されている方はまず、宮井さんを訪ねることから初めてみてもいいかもしれません。

「生きる」ことを感じさせてもらえる場所で暮らしています。

最後のゲストトークは、3年前に東京から国東(くにさき)市の限界集落に移住し、地域おこしの個人事業「みのや」を立ち上げた新田淳菜(にった じゅんな)さん。『国東で 見えたこと 始めたこと 感じること』というタイトルのお話をいただきました。

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庭、駐車場、おいしい水なんでもある一軒家の家賃はなんと2万円!

新田さんは生まれも育ちも東京で、大学卒業後はトヨタ自動車のグループ会社へ就職し、海外店舗のコンサルティングやモーターショーの展示に携わるお仕事をされていました。

ご主人の転勤で大分市を訪れた際、海も山も見え、少し車を走らせると田舎の風景が広がっている大分に新田さんの「田舎に対する憧れ」が膨らみます。その後、転勤で再び東京に戻った時に東日本大震災が発生。これをきっかけに以前よりも「生き方」を考えるようになったそう。

そして “もっと自然を側で感じたい” と強く思うようになり、かつて縁があった大分の空き家バンクを通じて国東へ移住。東京での暮らしを振り返ると、「経済的な充実感はあったものの、どこか埋め合わせをしているような気がした。」と新田さん。

電車は通っておらず、人よりも動物が多い。そんな国東をとにかく気に入り、仕事というよりも生業に近い形で地域おこしの個人事業「みのや」を立ち上げ、事業のひとつとしてパン屋を始められました。

過疎化や少子高齢化で「子ども達のふるさとがなくなってしまうかもしれない」という地域が抱える問題に対して、いま何が自分にできるのか、そして自分らしく生きるとはどういうことなのか。子ども達に国東で「人間らしく心豊かに生きられる」という背中を見せたいと、パン屋の他にイベント企画や小冊子製作などをされています。

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新田さんは最後に、「自分がやって楽しめる」ことをやっていきたいなって思えること、それをゆっくり取り組んでいける環境があることが田舎の魅力です、と笑顔で締めくくられました。

前半はこれにて終了し、休憩を挟んで後半のワークショップへ。

ワークショップのテーマは「自分が参加したくなる、友人に紹介したくなる『大分ローカルツアー』を企画する」というもの。ゲストや職員さんを交え、会場が6つのチームに分かれてアイデアを考えます。

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観光名所やグルメ、屋形船など、観光をベースに “自分たちが大分県でやりたいこと” をとにかく詰め込んだ3泊4日プランや、新田さんの暮らしている国東を訪れて地域の仕事を知る、地域交流をベースにした1泊2日プラン、自然豊かな大分に触れた後に温泉に入る1泊2日プラン、地域の暮らしを体験しながら移住へのギャップを埋めて行き、憧れから現実へ落とし込んで行くプランなど、限られた時間の中で様々なアイデアが出て来ました。

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優勝は、熊本空港から高田市に入るルートを提案したチーム! 大分県に熊本経由で入って来るのが斬新なアイデアだったそう。優勝商品にはなんと、大分の名酒「いいちこ」が入った大分の名産バッグが贈られました!

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ワークショップ終了後は、大分の産品をつまみながら参加者やゲストみんなで交流し、輪になって感想共有。最後に記念撮影をしました。

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参加者からは、「知らない大分の魅力をたくさん見つけられて面白かったです。宮井さんや新田さんの元へ遊びに行きます!」という声や、「企画した移住体験ツアーに参加したい」という声、「大分県出身なので、大分にゆかりのある人に出会えて嬉しい!」「来月大分に行くので一緒にどうですか?」「宇佐市出身で、まだ帰る予定はないけれど、唐揚げはぜひ中津よりも宇佐市で食べてほしい!」という声があり、それぞれにとって「大分」や「地元」が以前よりもずっと身近になったのではないでしょうか。

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地元での新たなキャリア、地域を楽しみながら暮らしている人たちを知ること。ライフスタイルが多様化している今だからこそ、まずは地域で暮らす人を知り、交流し、実際に訪れることで、そこから自分の選択肢を広げていけるのかもしれません。

また、意外と近くに暮らしていたけれど出会えていなかった同郷の同世代に出会えることもローカルナイトの魅力です。この取り組みを通して、これからも地域や自分のキャリアに対して考える「きっかけ」を京都でつくっていきたいです。

※ローカルナイトは今後「ミツカル(Meets Local)」という名称に変わります。

Photo by もろこし