自治体・民間企業・地域住民で力を合わせてかたちづくる、これからの地方創生。ツナグムが新たに取り組む「ローカルセッション」とは。

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若者たちが “地域に出会う” きっかけをつくっていけないかと、ツナグムが「Meets Local(ミツカル)」を実験的に始めたのは2015年のこと。これまで10の都道府県をテーマに14回開催してきました。現在は、全国各地の自治体と連携した取り組みとして開催しています。

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例えば、地域で活躍するゲストを京都にお呼びし、学生や若者が地元や地方での仕事や暮らし、これまで知らなかった地域の魅力、そして同郷の若者に出会う 「ローカルナイト」や、地元や興味のある地域について語り合い、情報交換を行う「ローカルDAY」など、さまざまな企画を実施しています。

本日はそんな「ミツカル」の取り組みのひとつ、「ローカルセッション」についてご紹介していこうと思います。

自治体・民間企業・地域住民の連携を生み出す「ローカルセッション」

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▲関西圏だけではなく、宮城、石川、愛知、鳥取、島根、香川など全国各地から足を運んでくださった参加者のみなさん

1. ローカルセッションとは?

「ローカルセッション」は弊社が企画・運営している、これからの「地方創生」のあり方について考えるイベント。移住や地域活性化、コミュニティづくりなどに取り組んでいる全国の自治体・団体職員や民間企業、大学生などが京都に集まり、つながり、地域連携や官民協働について学び合うことを目的としています。

この場に集まる参加者の興味関心は、住みたいまちとは一体どんなまちなのか? 地域の巻き込み方・巻き込まれ方にはどんな方法があるのか? また、移住に対して受け入れ地域側との連携ができていない、ついつい地域に無いものばかりに目がいってしまう・・という悩みなど、さまざま。

「ローカルセッション」は、実際にこういったまちの課題解決に取り組んでいる自治体や民間企業の方々をゲストにお招きし、事例を紹介していただきながら、それぞれの課題に対してみんなで考え、解決策や新たなアイデアを生み出せるような場づくりを目指しています。

2. なぜ「京都」で開催するのか

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歴史文化都市である「京都」、老舗企業が軒を連ねる「京都」、南北に約120kmもある「京都」

-- そして、学生のまち「京都」

そんな「京都」で、弊社は2015年3月の創業以来 “人と人、人と場のつながりを紡ぎ、新たな未来を創り出すこと” をミッションに、移住支援や拠点運営、採用支援、組織活性などに取り組んできました。

ミツカル」プロジェクト担当の藤本は、仕事や趣味で全国各地をよく訪れています。訪れた先で、地域ならではの魅力や風景、人に出会っていく中で、地域の企業や団体が “楽しいまちをつくる” ためにユニークな取り組みをしているにも関わらず、自治体との連携が薄いことを感じ、もったいないと思うことがありました。

そんな中、彼は、2016年に東京で開催された「MICHIKARA 地方創生」に参加。そこには全国から “まちをおもしろくしたい” とヒントやきっかけを求めて来ている自治体職員の方々がたくさんいることに気づきました。

「東京」ではすでに様々な取り組みがあり、それに関わる企業があり、たくさんの情報が行き来しています。一方「京都」には、相楽エリアや京都丹波エリアを始めとする官民協働のモデルやそれに取り組む団体はあるのに、情報交換の機会が少ない。

京都は、都市と地方両方の要素をもっており、さらに学生をはじめとする若者が様々な都道府県から集まるまち。だからこそ京都で新たな地方創生の仕掛けが生まれる可能性があるとわたし達は考えています。

それでは、2017年6月3日に開催した「ローカルセッション」第1回目の様子をお届けしていきたいと思います。(イベント詳細はコチラ ※Facebookページに移動します)

「自分ごと」そして「みんなごと」からはじまる、これからの地方創生

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▲左からゲストの福野さん、田畑さん、山下さん

今回のゲストは、京都や奈良で先駆的に「地域連携」や「官民協働」の取り組みを行っている、奈良県地域振興部 奥大和移住・交流推進室長の福野博昭さん、合同会社ゆうあんビレッジ代表の山下丈太さん、NPO法人テダス事務局長の田畑昇悟さんの3名。

会場には「移住」「二拠点生活」「地域観光」といったキーワードに興味がある30名以上の自治体職員や会社員、大学生が全国各地から集まりました。

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▲持ち前のトーク力で会場をどんどん沸かせていく福野さん。

1人目のスピーカーは福野さん。

福野さんは、奈良県にある39市町村のうち、南部・東部地域の19市町村を「奥大和」と名付け、じゃらんや近畿日本鉄道などさまざまな民間企業と連携しながら地域の魅力発信をしてこられました。なかでも「美しき日本」の制作には強い思い入れがあるのだそう。(ぜひリンク先の動画もご覧ください!)

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▲年間1,200~1,300人もの人が訪れるオフィスキャンプ東吉野

また、2015年に誕生したシェアオフィス「オフィスキャンプ東吉野」の立ち上げや、奥大和の移住体験ツアー、トライアルステイなど、移住推進事業にも力を入れており、これまでになんと10組20名ほどが移住。現在は次の段階として、地域の仕事づくりについて考えておられます。

「こんな風にいろいろとやってきましたが、基本的に友達としか仕事をしていません! 知らない人と仕事をするのは怖いので(笑)」と福野さん。プロジェクトに関わるメンバーが民間企業や地域住民、誰であったとしてもそういったフラットな関係をつくっていくことで、より良い連携が生まれていくのかもしれません。

福野さん「 “地域との交流=その地域を本気で考えてくれる人が増えること” これは移住定住してもらうよりも重要で、それが地域の活性化につながっていく。何よりもみんなが楽しんでやれることをやったらいいんです。」

【関連URL】

・美しき日本:http://www.okuyamato.pref.nara.jp/utsukushiki-nippon-nara/

・オフィスキャンプ東吉野:http://officecamp.jp/

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▲6歳の時に家族で和束町に移住した山下さん

2人目のスピーカーは山下さん。“次世代に誇れる未来を企画する” というコンセプトで展開している事業のひとつ、「ワヅカナジカン援農プロジェクト」の事例を中心に、取り組みのきっかけやこれまでの道のりをご紹介くださいました。

「ワヅカナジカン援農プロジェクト」とは和束町のお茶農家さんの元に日本全国から若者が集まり、5〜7月の3ヶ月間地域のシェアハウスに寝泊まりしながら、お茶の収穫をお手伝いするプロジェクトのこと。

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▲新茶が輝く和束町の茶畑

山下さんは元々、イベントやツアーを企画して和束町や茶畑を知ってもらおうと取り組んでいたのですが、お茶農家さんが本当に必要としていたのは繁忙期の働き手でした。ある日、茶農家さんに「丈太、アルバイト誰かおらへんかよ?」と言われたことがきっかけで「ワヅカナジカン」が誕生。

過去3年間で参加した50人のうち、7人が和束に移住。移住後は、地域おこし協力隊や行政職員、デザイナー、カフェスタッフ、福祉職員など、まちの担い手となっていきます。

山下さん「 “移住者の数じゃなくて、どれだけ一緒に生産活動をしてくれる人が増えるのか” 和束町では、そんなことをみんなで考えながら、空き家・暮らし・仕事・娯楽といったテーマに対して “こんなのあったらいいよね” という取り組みをしています。」

山下さんは過去に行政内でも働いていた経験があり、それぞれの立場に立って「地域に必要なもの」を考えられるからこそ、三者が協力し合える仕組みをつくっていけるのかもしれません。

【関連URL】

・ゆうあんビレッジ:http://youandvillage.jp/

・ワヅカナジカン援農プロジェクト:http://youandvillage.wixsite.com/wazukanajikan

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▲田畑さんは学生時にガーナに滞在し、現地のNPOに関わっていたそう

3人目のスピーカーは田畑さん。

田畑さんは現在、南丹市まちづくりデザインセンターで地域住民や地域団体のまちづくり活動に関わる相談窓口を担当し、相談内容に対して適切な地域団体や市役所の担当課へとつないでいく「中間支援」と呼ばれる橋渡し役を担っています。

南丹市では “移住後、孤立させません” というスローガンの元「移住者歓迎パーティー」という交流会イベントなどを開催し、行政とNPO職員が協働して移住者のアフターフォローに力を入れています。

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▲NPO法人テダスの多様な取り組み

その他にも、草刈り、香典返し、雪かきのルール、役員の決め方など、地域側が移住者に伝えたいことがまとめられている「集落の教科書」や、移住希望者が知りたいことをまとめた「移住者の参考書」といった、地域側と移住者側の相互理解が深まるような冊子の作成などを行なっています。

田畑さん「僕らも移住に関わるお仕事をしていますが、日本中が移住ブームとなった今、移住者の取り合い合戦が起こっていると思います。それが嫌なんですよね。だからこそ、地域のいいところも悪いところも見せた上で、“どの地域に行けばその人が幸せなのか” というプロモーションを全体で考えていきたいです。」

田畑さんは「協働みーつけた!」というケーブルテレビ番組の制作・放送も行っており、様々な方法で市民に対して「協働」という概念を広めておられます。このように、これまでと異なった角度から取り組みを行うことで、地域住民からの理解が得られていくのかもしれません。

【関連URL】

・NPO法人テダス:http://tedasu.com/

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ゲストトーク後は、グループごとに感想の共有や質問項目をまとめ、パネルディスカッションへ。

会場からは「二拠点、多拠点という暮らし方についてゲストの意見を聞きたい!」「プロジェクトの資金はどうしているのですか?」「移住10年目でも新参者と言われます。どうすれば地域の人が受け入れてくれるのでしょうか?」という質問があり、それに対してゲストから意見やアドバイスがありました。

そして、今回のテーマとなっている「官民協働のツボ」についての問いかけでは、

田畑さん「完成した企画を元にここの部分をお願いしたい、ではなく企画をゼロから一緒につくることを大切にしています。また、そういった会議の際に “自分だったら” という視点で考えてもらうことを心がけています。」

山下さん「もともと自治体側に2年半ほどいたからわかるのですが、決裁ひとつにかかる手間も多く、『行政』ってみなさんが思っているよりも大変なんですよね。相手の事情を理解した上で役割分担し、お互いがプラスになるような関係性をつくっていくことが大事だと思います。」

福野さん「もしかしたら、地域を盛り上げることに一緒に取り組めない人の方が多いかもしれません。ですが、一緒にできる人は必ずいます。ゴールは遠いかもしれないし、変わるかもしれないけど、想いを共有していくことが一番大事。まあでも、『友達とやる』『一緒に飲む』『自分のことを話す』これだけかな(笑)」

関わる人たちへの思いやりと、「自分ごと」「みんなごと」の発想が生まれる仕掛けづくりの大切さ。そして何よりも感じたのは、ゲストの3名が自分の仕事を心底楽しんでいるということ。

白熱していたパネルディスカッションの様子から、地域連携の課題を共有しながらそれぞれが学び合えるこの場に、これからの「地方創生」のヒントを得た気がしました。

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▲京都開催ということで「京都タワー」ポーズ!

あっという間に終わりの時間。最後はみんなで「京都タワー!」を合言葉に記念撮影をしました。

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イベント後はゲストも交えての交流会。京都府産の食材を使用した軽食を楽しみながら、イベント中には聞けなかったお話を聞いたり、参加者同士の親睦がより一層深まったりと、終始笑いの絶えない時間となりました。

参加者からは、悩みながらも自分の地域の取り組みをどうにか前に進めていきたいという熱量を感じ、なかには、うちの町に来たら全力で案内するよ! という自治体職員さんもおられました。

それぞれの地域によって良さは違うはずなのに、なぜか隣の芝が青く見えてしまう。“ないものを並べるだけではなく、あるものに着目していこう” という気づきを得た方、地元の自治体職員さんと出会って想いを共有できた地元大好きな大学生。

こういった取り組みを重ねていくことで、ここに集まる方々と一緒にこれからの「地方創生」をかたちづくっていけるのではないかと思います。来られていた方々からそれぞれの地域へ対する想いが伝わってくると、やっぱり訪れてみたくなるものですね。ここで出会った人たちの元をこれから少しずつ訪ねて行きたいなと思いました。

ミツカルへのお問い合わせはお気軽に!

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▲広島出身の藤本は東京の人材系の会社に就職後、京都にIターン

“新たな暮らしの選択肢・地元や地方に踏み出せるきっかけを京都でつくっていきたい”

わたし達はそんな想いで「ミツカル」を企画・運営しています。ご興味をもっていただけましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。ミツカルHPはコチラ

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◎お問い合わせ◎

株式会社ツナグム(ミツカル担当/藤本)

TEL:080-1492-8597

MAIL:fujimoto@tunagum.com

HP:http://tunagum.com/